皮膚の病気

小児の口囲皮膚炎(文献紹介)

メトロニダゾール軟膏(1%)

小児の口囲皮膚炎についてです。酒さ・酒さ様皮膚炎のページで、「小児にも起こります」と記載していますが、それほど小児例を見るわけではありませんし、治療も大人と同じで良いのかどうか、と迷うところがありました。

Journal of American Academy of Dermatology (JAAD)という、皮膚科でかなり権威のある臨床系のジャーナルに最近論文が掲載されていたので、内容をすこし紹介します。

Ollech A, et al. Topical calcineurin inhibitors for pediatric periorificial dermatitis.

J Am Acad Dermatol. 2020 Jun;82(6):1409-1414.

タイトルは、「小児の開口部皮膚炎に対する外用カルシニューリン阻害薬」になります。

口囲皮膚炎(perioral dermatitis)と呼んでますが、口の周りだけではなく、眼や鼻の周りにも症状がでますので、開口部皮膚炎(periorificial dermatitis)とも呼ぶようです。

外用カルシニューリン阻害薬(Topical Calcineurin Inhibitor: TCI)は、本邦ではタクロリムス軟膏(プロトピック®軟膏)だけです(海外ではピメクロリムスという薬剤もあります)。2歳以上で使える、濃度が低い小児用製剤(プロトピック®軟膏小児用)もあります。ただし、保険適用は「アトピー性皮膚炎」だけです。

論文の主旨は、「タクロリムス軟膏外用のみで、副作用もあまりなく良く治るよ」です。CR(寛解)が68.8%、PR(改善)が27.1%ということでした。

それ以外の治療手段は、外用メトロニダゾール、内服抗菌薬で、論文の中ではそれらを組み合わせた治療と比較してあって、TCI+内服抗菌薬が一番寛解率は高かった(77.8%)ですが、中止後の再発率も高く(44.4%)、なんとも言えない結果でした。ただし、TCI単独療法以外の治療は症例数が少なく、評価が難しいと思いました。ちなみに私のこれまでの経験では、内服抗菌薬+TCIが最も効果があった気がしていました。

ステロイドの外用や吸入は発症のきっかけになる可能性がありますが、発症前に使っていたのはせいぜい20%くらいで、成人とはやはり事情が違うのかもしれません。アトピー性皮膚炎の合併は29%だそうです。

内服抗菌薬は、アジスロマイシン(ジスロマック®)、エリスロマイシン、ミノサイクリンでした。ミノサイクリンなどテトラサイクリンは歯牙着色の可能性があり、小さい子には使いにくいです。ここからは私見ですが、アジスロマイシンも呼吸器疾患はともかく皮膚疾患には使いにくいです(皮膚疾患で保険適用は深在性皮膚感染症のみ)。エリスロマイシンは使えますが、1日に4~6回内服なので、より安定した新しいマクロライドであるクラリスロマイシンの方が、小児では第一選択になるのかなあと思います。

いずれにせよ、タクロリムス軟膏、メトロニダゾール外用、クラリスロマイシン内服を組み合わせて治療に当たるのが医学的には正しそうです。