痒疹

Last Updated on 2023年7月28日 by 院長

痒疹とは何か?というのは実は難しい質問です。

教科書(あたらしい皮膚科学)には、「強いそう痒を伴う、孤立性の丘疹や小結節をいう」とあります。

「慢性痒疹診療ガイドライン」では、「痒疹丘疹を主体とする反応性皮膚疾患」と定義されています。

痒みのある丘疹がパラパラあって、いわゆる湿疹・皮膚炎ではないもの、というイメージです。

分類としては、

1.結節性痒疹

2.多形慢性痒疹

3.その他の痒疹

になるようです。「色素性痒疹」という病気もありますが、病態はかなり異なります。

 

結節性痒疹は、四肢に生じる強い瘙痒を伴う結節です。糖尿病や糖尿病性腎症の患者さんによくできる、「反応性穿孔性抗原線維症」という病気も同じような臨床像をとり、結節性痒疹と厳密には区別できないという意見があります。

多形慢性痒疹は、中高年の腹部、腰部に見られる痒疹です。痒疹丘疹以外にも浮腫性紅斑もあったりして、かなりあいまいな疾患概念です。

治療は、抗ヒスタミン薬内服、ステロイド外用を行いますが、一般的に難治なことが多く、

ナローバンドUVB、エキシマライト照射

ヒルドイド®クリーム外用

タクロリムス軟膏外用

活性型ビタミンD3外用

テトラサイクリン系、マクロライド系抗生剤内服

シクロスポリン内服

などなど、実際には痒疹に保険適用外のものばかり並びますが、これらを組み合わせたりして治療を行っているのが実情でした。

2023年6月26日に、「既存治療で効果不十分な結節性痒疹」に対して、デュピクセントの適用追加が承認されました。結節性痒疹の病態においても、Th2炎症が重要な役割を占めていた、ということになります。