単純ヘルペス
Last Updated on 2022年4月30日 by 院長
単純ヘルペスは、単純疱疹ともいい、単純ヘルペスウイルス(HSV)による感染症です。「風邪の華」や「熱の華」といわれ、潜伏感染しているウイルスが、(風邪などで)免疫が下がることにより、再活性化して症状がおこります。
口唇の周囲(口唇ヘルペス)もしくは外陰部の周囲(性器ヘルペス)に水疱ができます。
お尻に繰り返し水疱がでることがありますが、性器ヘルペスと同じ扱いです。
臨床症状で診断が可能なことが多いですが、水疱から細胞診をすることもあります。単純ヘルペスであれば、ウイルス性巨細胞が検出できるはずです。
口唇ヘルペスの場合は、抗ウイルス薬の内服を行います。発症してからすぐに内服をした方がいいので、予防的に内服薬を持っておいて、予兆があれば患者さんの判断ですぐに内服する方法が健康保険で認められています(ファムビル®のみ)。海外ではこちらの方が主流だそうです。
もともと単純ヘルペスの場合は、①抗ウイルス薬を5日間内服することになっていますが、ウイルスは初期の段階しか病変部にいないらしいので、長く5日間に分けて内服する意味が本当にあるのかは疑問です。そのため、②早期に大量に内服すれば十分なのではないか、という考え方です。錠数も15錠→8錠で少なく済みます。1年に3回以上ヘルペスを繰り返すような方が対象になります。
性器ヘルペスの場合も、抗ウイルス薬の内服を行います。頻繁に再発を繰り返すときは、上記のような短期間投与もありますが、抑制療法といって、1日1錠を1年間くらいまで内服して性器ヘルペスの発症を防ぐとともに、単純ヘルペスウイルス量も減少させる、という治療法も健康保険で認められています(バラシクロビルのみ)。
特殊な型として、アトピー性皮膚炎のコントロールが悪い方などに生じる、カポジ水痘様発疹症、というものがあります。口唇だけではなく、顔面全体や、体にヘルペスの発疹が広がる病気です。この場合も、抗ウイルス薬の内服を行いますが、重篤な場合は入院して抗ウイルス薬の点滴が必要なことがあります。