伝染性軟属腫
Last Updated on 2024年7月1日 by 院長
伝染性軟属腫は、小児の体幹などに生じる、白いぷつぷつで、伝染性軟属腫ウイルス(pox virusの1種 )による感染症です。アトピー性皮膚炎や乾燥肌の子供に多いです。時に成人にも生じます。
肉眼で診断がはっきりしないときは、ダーモスコープを使うと、ピンク色の血管拡張の中に白い芯(ウイルスの封入体)が入っているのが分かります。
治療は、下の写真のように、数が少なければ摘除することが多いかもしれません。
軟属腫摘除(みずいぼ取り)は痛いので、(特に小児は)局所麻酔薬のテープ(ペンレステープ®など)を1時間以上前に貼付します。
そもそも取らないといけないのか、というと、発症から平均6.5ヵ月で94.5%が自然治癒する、という話もありますので、「取らずにほっておく」というのでも全く良いです。
ヨクイニンを内服したり、それと同時にイソジンを塗って、スピール膏を貼る、またはイソジンを塗るだけ、という方法もあります。カチリ(フェノール・亜鉛華リニメント)という絵の具のような薬を外用するクリニックもあります。
じゃあ結局どうするのがいいのか、というと、
①日本皮膚科学会では、「水いぼをとるかとらないか」ということにコンセンサスはありません。ガイドラインも存在しません。
②欧米のガイドラインでは「健常人では自然治癒するので、治療は必要ない」というスタンスです。
院長の考え方としては、
①数が少ない場合は、希望があれば摘除も可能です。数が多い場合は、摘除せずに自然治癒を待つ(もしくは内服、外用)方を勧めます。
②できるだけ内部の白い部分だけを核出します。全体を引きちぎるようなことをすると、瘢痕を残す恐れがあります。自然治癒するのにわざわざ手荒に摘除して瘢痕を残す、というのはどう考えても間違いです。
③1−2回摘除しても再発する場合は、取らずに自然治癒を待つ方を勧めます。
これまで5年間の実感としては、「摘除してもしなくても大差はなく、いずれにせよ治る」です。
日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会の統一見解では、「プールの水ではうつりませんので、プールに入っても構いません。ただし、タオル、浮輪、ビート板などを介してうつることがありますから、これらを共用することはできるだけ避けて下さい。プールの後はシャワーで肌をきれいに洗いましょう。」とありますので、少なくとも広島市の「こども未来局」が関わる公立の小学校では「プールに入ってはだめ」、とは言われないはずです。私立の小学校や、スイミングスクールについては分かりません。
当院での水いぼの摘除は、
平日の午後、土曜日は、基本的に行いません。
処置は平日(月、火、水、金)の午前中に限らせて頂きます。そしてネット予約ではその日に処置行うのは難しいので、一度診察を受けてから処置予約、が必須です。