水疱性類天疱瘡

Last Updated on 2020年5月27日 by 院長

水疱性類天疱瘡は、水疱症の中では最も頻度が高く、高齢者に多いです。特徴は、体や四肢にかゆみのある紅斑を伴う緊満性水疱が多発することです。尋常性天疱瘡では弛緩性水疱ができます。尋常性天疱瘡と違って、粘膜(口の中など)には水疱は出ないとされていますが、症状がひどい方の場合は、口の中にも水疱がでます。

水疱性類天疱瘡

病理では、表皮下水疱で、水疱の中には好酸球が浸潤します。

自己免疫性水疱症の診断は基本的にみな同じで、水疱の局在を病理組織(プレパラート)で確かめること(この場合は表皮下)、自己抗体を検出すること(採血で自己抗体を検出するか、または皮膚の水疱ができる場所に自己抗体が沈着していることを証明する)の両方が必要です。自己抗体の標的はBP180(17型コラーゲン)という蛋白質です。

治療は、軽症なら、ステロイドの外用、テトラサイクリン系の抗生剤やニコチン酸アミドの内服でなんとかなることもあります。

重症であれば、総合病院の皮膚科へ入院してステロイドの内服や点滴を行います。

治療への反応性は悪くないことが多いのですが、高齢者が罹ることから、入院すると認知症が悪化します。またステロイドの全身投与により、感染症で亡くなる可能性は低くないと言われています。

最近のトピックですが、糖尿病の治療薬で誘発されることが知られています(DPP-4阻害薬)。