薬疹

Last Updated on 2021年4月20日 by 院長

薬疹は、薬剤によって、皮疹が誘発される疾患です。

一番多いのは、播種状紅斑丘疹型薬疹です。薬剤の摂取後に、全身に小さな浮腫性紅斑が多発します。ウイルス性発疹症(麻疹)との鑑別が必要ですが、両者が混在していることもあります。どんな薬でも起きる可能性があります。一般の方が思い浮かべる「ザ・薬疹」です。

特殊なタイプに、固定薬疹があります。頻度はそれほど低くないと思いますが、皮膚科医以外は多分あまり知りません。同じ薬を摂取するたびに、同じ場所に円形で境界明瞭なやや紫色がかった紅斑を繰り返します。水ぶくれになることもあります。繰り返す毎に、色素沈着が強くなっていきます。口の周りにでるときは、単純ヘルペスと鑑別が必要になることがあります。単発だったり、多発したりします。

固定薬疹

原因薬剤で多いのは、鎮痛剤(アセトアミノフェン、イブプロフェンなど)、去痰剤(カルボシステインなど)、ニューキノロン系の抗菌薬(クラビット、ジェニナックなど)などです。

患者さんは、ほとんどの場合、薬のせいだとは思っていません。時々しか内服しない薬だからでしょうか。薬疹だと言うとびっくりされます。

 

薬疹の検査(どの薬剤が原因か調べる検査)としては、薬疹の病型によってそれぞれ異なります。一般的には、

蕁麻疹型薬疹→プリックテスト(場合により皮内テスト)

普通の薬疹→薬剤誘発性リンパ球刺激試験(DLST)

固定薬疹→皮疹部へのパッチテスト

といったようになります。

 

薬疹の治療は、原則として薬剤の中止です。適宜、抗ヒスタミン薬内服、ステロイド外用、重症例ではステロイド内服をすることがあります。

 

命に関わるような重症の薬疹としては、

スティーブンス・ジョンソン症候群(多形滲出性紅斑+粘膜障害、眼に後遺症がのこることも)

中毒性表皮壊死症(全身の皮膚がずるずるむける)

薬剤性過敏性症候群(薬をやめても治りません・・・)

急性汎発性発疹性膿疱症(高熱とともに全身に赤みと細かい膿疱)

の4つです。

どれも発熱など全身症状を伴います。薬剤の即時中止と、入院加療が必要です。