オマリズマブ(ゾレア®)

Last Updated on 2020年8月6日 by 院長

オマリズマブ(ゾレア®)は、平成29年3月から、特発性の慢性じんましん(原因・誘因のはっきりしない6週間以上持続するじんましん)に対して、保険適用になっています。ヒトのIgEに対するモノクローナル抗体製剤です。海外では本邦より以前からじんましんに対して使われていて、高い効果が証明されています。

じんましん以外には、気管支喘息、季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)に適応がありますが、これらの疾患に対しては当院でのオマリズマブ投与は行いません(それぞれ呼吸器内科、耳鼻咽喉科が専門です)。

じんましんに効果がある理由は、血液中のフリーのIgEをトラップすることで、ヒスタミンを出してじんましんを起こす好塩基球やマスト細胞の細胞表面にある高親和性IgE受容体の数が減り、抗IgE自己抗体や、抗IgE受容体抗体などの自己免疫性じんましんの原因となる自己抗体が働きにくくなるからだ、と言われています。

 

以前は下の写真のようにバイアルに入った薬に注射用水を加えて、専用の振盪機で30分かけて溶かしてから投与(皮下注射)していましたが、2019年6月末にプレフィルドシリンジ製剤(注射器に薬剤が入った状態の製剤)が販売開始され、調整の手間はなくなりました。

専用振盪機
専用振盪機

 

 

ゾレア® シリンジ
ゾレア®皮下注 シリンジ

さらに、2020年4月1日からの薬価改定で、なんと4割近く減額になりました。新薬価は150mgシリンジ1本で29,147円です。1回に2本投与しますから、3割負担の方だと17,500円くらいになります(これまでは28,000円弱)。

ずっと4週間おきに注射が必要かというとそうではなく、じんましんが全く出なくなれば、間隔を空けたり、量を減らしたりすることも可能です。中和抗体が出来にくいとされているので、中止→再投与がしやすいお薬です。