コレクチム®軟膏

Last Updated on 2025年3月16日 by 院長

日本皮膚科学会の「デルゴシチニブ軟膏(コレクチム®軟膏0.5%)安全使用マニュアル」に沿って内容を変更、追記しています。また、指摘をうけ、内容変更しています(2025年3月16日)。

アトピー性皮膚炎に対する新しい外用薬が使えるようになりました(2020年6月24日から)。プロトピック®軟膏が発売されたのが1999年ですので、約20年ぶり。

コレクチム®軟膏という薬で、一般名はデルゴシチニブ。日本たばこ産業(JT)が製造し、鳥居薬品が販売です。京都大学皮膚科の椛島健治教授らとJTが8年がかりで作った、純粋にmade in Japanの薬だそうです。

コレクチム軟膏

デュピクセントが、IL-4/IL-13受容体に対する抗体なら、その受容体に結合するチロシンキナーゼのヤヌスキナーゼ(一般的にはJAK)の阻害剤です。’JAK-STAT’みたいにSTATと対になって語られることが多い細胞内シグナル伝達分子です。

IL-4受容体なら、JAK3-STAT6みたいな感じに特異的なJAKとSTATが決まってます。

コレクチムはすべてのJAK (JAK1/2/3/Tyk2)を抑制します。

かゆみを起こすというIL-31の受容体のシグナルも抑制します。さらに他のJAK-STATを使うすべてのサイトカインのシグナル伝達も阻害することになります。

プロトピックよりも刺激が少なく、分子量が小さいので顔以外でも吸収が悪くない、というのが売りです。ただし、容易に経皮吸収されるので、過度に使いすぎると血液中に薬剤が検出されるようになります。1回5g、1日2回までが最大です。

薬価は0,5%製剤が143円/gで、ステロイド外用薬(例:アンテベート®軟膏 18.9円/g)やプロトピック®軟膏0.1%(66円/g)に比べてもかなり割高です。

ただし、単純ヘルペスウイルス感染症(口唇ヘルペス、カポジ水痘様発疹症など)を頻回に繰り返す患者さんは、発症率が上がるらしいので、プロトピック®軟膏同様、難しそうです。ざ瘡や毛包炎など細菌感染も増悪することがあります。伝染性軟属腫も悪化する印象があります。

プロトピック®軟膏との併用、シクロスポリンやデュピクセント®との併用は慎重に、という記載でしたが、現在のところあまり問題はなさそうに思います。

妊婦、授乳婦には有益性投与です。6ヶ月以上の小児から使用可能です。