局所免疫療法

局所免疫療法は、人工的にかぶれ(接触皮膚炎)を起こす治療です。円形脱毛症の炎症から、かぶれの炎症に変調させることで、発毛を起こすと考えられています。

使用するSADBE(squaric acid dibutylester; 3,4-dibutoxy-3-cyclobutene-1,2-dione)とかDPCP (Diphenylcyclopropenone)という物質は、医薬品ではありません。発がん性はないと考えられています。DPCPよりSADBEの方が強い炎症が起こるらしく、海外の教科書ではDPCPで効果不十分ならSADBEを、という記載でした。

円形脱毛症以外にも、尋常性疣贅や伝染性軟属腫の治療に使うこともあります。

当院ではSADBEを使います。当面は、薬剤費は患者さんに請求しない形で行いたいと思っています。

SADBE

まず最初に、SADBEにかぶれるような体質に変わって頂く必要がありますので、頭部の脱毛しているところに、パッチテストのように薬剤を貼り付けて密閉します。2日経ったところで剥がすと、貼ったところは普通強くかぶれています。何ヶ月かじゅくじゅくが続く方もいらっしゃいます。これを感作と言います。感作が終わったら、脱毛斑に薄い濃度のSADBEを筆で塗っていき、かゆみがでるまで徐々に濃くしていきます。あせって急速に濃度を上げると、頭皮だけではなく顔面の皮膚や首のリンパ節がひどく腫れたりして、日常生活に支障がでることがあり、お薦めしません。塗ってから2-3日くらいかゆみが続く濃度で、週に1回程度で気長に治療を続けます。

薬剤費は請求しませんが、治療に使う筆は、当院では実費(330円)で購入して頂きます(患者さんに持ってきて頂く方法もありますが、違う種類の筆だと、薬剤の含み方がまちまちなので、ちゃんと塗れていなかったり、薬剤が垂れて眼に入ったり、顔に付着したりします)。

使用する筆です
ぺんてる ネオセーブル14号 平筆

 

最初の感作を頭皮に行う理由は、局所免疫療法の効果が今後でるかどうか予想が付きやすいからです。院長は、上腕内側に感作するよりは、頭皮に感作する方を圧倒的に好んでいます。

最初に感作してかぶれた部分からほどなく毛が生えてくるようなら、気長に治療を続けると他の部分にも毛が生えてくる可能性が高いです。逆に、何ヶ月経っても感作した部分に毛が生えてこないようなら、効果は期待できませんので中止します。

個人差がありますが、塗ったところ(頭)だけではなく、塗ってないところや、全身に湿疹がでることがあります。治療をやめれば大抵は治ります。

特に小児の円形脱毛症の場合は、ステロイド外用以外は局所免疫療法しか選択肢がない、というのが実際のところです。

かゆみがでるので、アトピー性皮膚炎のひどい方には使いにくいです。