テトラサイクリン

ビブラマイシン

Last Updated on 2020年6月9日 by 院長

テトラサイクリン系と呼ばれる抗菌薬があります。ざ瘡(にきび)によく使われますね。

代表的なのは、ミノサイクリン(ミノマイシン®、ミノペン®など)とドキシサイクリン(ビブラマイシン®)です。抗菌作用だけではなく、抗炎症作用があります。

広島県下の皮膚科で一般的に用いられているテトラサイクリンといえば、おそらくミノサイクリンでしょう。私も勤務医時代は時々使っていました。一方、ドキシサイクリンは、広島大学病院や県立広島病院で採用がなく、処方したことがありませんでした。

ミノサイクリンとドキシサイクリンは効果はほとんど変わりません。

剤形はミノサイクリンだけに小児用顆粒があります。

副作用はかなり違います。ミノサイクリンはドキシサイクリンよりもめまいや色素沈着の頻度が高いです。さらには自己免疫疾患、薬剤性過敏症症候群など重篤な副作用もミノサイクリンで報告されています。

有効性は変わらないのに、副作用が多い方をあえて使う理由はないですよね。

ざ瘡の治療ガイドラインではミノマイシン(A*)よりもドキシサイクリン(A)のほうが推奨度がちょっと高いです。理由はミノサイクリンに副作用が多いためです。

ざ瘡など皮膚の感染症以外で、ミノサイクリンが効果があると言われている皮膚疾患、例えば融合性細網状乳頭腫症、色素性痒疹、酒さ・酒さ様皮膚炎、急性凍瘡状苔癬状粃糠疹などについても、ドキシサイクリンで問題ないと思われます。海外の教科書では”tetracyclines”と書いてあるだけです。

以上のことから、当クリニックではドキシサイクリンは処方しますが、ミノサイクリンを処方することはほぼなくなりました。例外的に小児の市中型MRSAによる伝染性膿痂疹で、ホスホマイシン(ホスミシン®)に抵抗性のときに、ミノマイシン®顆粒を短期間処方するくらいです。