皮膚の病気

治らない理由を考える

Last Updated on 2020年5月23日 by 院長

最近診療で特に心がけていることは、治らない理由を考える、ということです。

例えば、「湿疹」という診断をつけたとして、ステロイド外用薬を処方しました→治りませんというときには、

塗ってない

塗り方が悪い(すり込んでいるなど)

塗ってるが、薬が合ってない(薬が弱すぎる、薬に対して接触皮膚炎を起こしているなど)

実は原因や悪化因子があって、それが取り除けていない(接触皮膚炎、動物・花粉アレルギー、金属アレルギーなど)

そもそも診断が違う(湿疹・皮膚炎以外の何か、感染症など)

といった具合です。

この診断をつけたから、標準治療はこれでなので、治らなくてもそれはしかたがない、というのは「思考停止」だと思います。

岐阜大学医学部皮膚科の教授をされていた北島康雄先生が、「皮疹の因数分解・ロジック診断」という本の中のコラムで「思考の停止に気づかないで普通に診療している自分があるかもしれないと思うと、恐ろしいと気づくときがある」と書いておられ、感銘を受けた覚えがあります。

いろいろ考えても結局分からないということもありますが、できるだけ「思考の停止」に陥らないようにしていきたいと思います。