検査

ディフ・クイック®

Last Updated on 2020年5月14日 by 院長

ディフ・クイック®(Diff-Quik)という染色液があります。

ディフ・クイック

ライト・ギムザ染色と同等の染色が迅速に得られる(15秒)染色液です。広島大学病院皮膚科をはじめ、その関連病院には昔から置いてあるように思います。もともと血液細胞や腫瘍細胞の染色液ですが、皮膚科ではTzanck試験でよく使います(単純疱疹水痘・帯状疱疹のページを参照)。

ヘルペスウイルスによる疾患(単純疱疹、カポジ水痘様発疹症、水痘、帯状疱疹)でウイルス性巨細胞を検出できます。

ウイルス性巨細胞

また天疱瘡という全身に水疱が出来る自己免疫疾患では、棘融解細胞(バラバラになった角化細胞)が観察できます。

私は、以前からも便利なツールだと思っていましたが、特にクリニックを開業してから、ヘルペスの診断以外にもいろいろな疾患で使ってみるようになりました(ヘルペスや天疱瘡を疑う以外のときは保険点数はありませんので、従って料金は発生しません)。

他の疾患でも役に立つ点は、

好中球やリンパ球だけではなく、好酸球も識別できる(オレンジ色~赤みが濃い顆粒のある細胞が好酸球です)。

好酸球

細菌(真菌も)が検出可能(真菌は別の検査もします)。コバルトブルーのごく小さな粒子が細菌です。白血球に貪食されています。細菌の種類によって染色性や形は違います。

水疱やびらん・浸出液があって診断に迷った際に、細胞をこすって採取して染色することで、アレルギー性疾患なのか、ウイルス感染症なのか、細菌感染症なのか、(真菌検査もして)真菌感染症なのか、ということをその場で判断する一助になるので、大変重宝しています。