じんましん

Last Updated on 2019年12月20日 by 院長

じんましん

じんましん臨床写真

じんましんは、「膨疹、すなわち紅斑を伴う一過性、限局性の皮膚の浮腫が病的に出没する疾患であり、多くは痒みを伴う」と定義されます。

つまり、蚊に刺されたようなかゆみを伴う赤い斑点が、24時間以内くらいに出没するようなら、じんましんと診断していいことになります。

多くの蕁麻疹は原因不明(特発性)です。なので、明らかな誘因がなく、全身症状(発熱など)がない場合には、検査をする必要はあまりありません。

じんましんの治療の基本は抗ヒスタミン薬です。それも、眠気の少ない(非鎮静性、といいます)、比較的新しい第2世代の抗ヒスタミン薬を用います。第1世代や、第2世代でも眠気の比較的強い抗ヒスタミン薬は使わないほうがいいです。

抗ヒスタミン薬で効果がある患者さんが多いですが、効果不十分の場合は、抗ヒスタミン薬を2倍に増量したり、2種類を併用したりします。ただし、一部の薬剤は(健康保険では)増量ができません(下の表)。

抗ヒスタミン薬一覧
非鎮静性第2世代抗ヒスタミン薬の一覧と倍量投与の可否

それでも効果不十分な場合は、補助的治療薬と呼ばれる薬剤を用います。よく使われているのが、抗ロイコトリエン薬と、ヒスタミンH2受容体拮抗薬です。他にもいろいろありますが、あまり使いません。

補助的治療薬の一覧
補助的治療薬の一覧(森田栄伸.アレルギー61: 926-929, 2012より)

さらにそれでも効果が不十分な場合は、副腎皮質ステロイド(0.2mg/kg/日まで)、オマリズマブ(ゾレア®)、またはシクロスポリン(ネオーラル®)を用いることになります。

個人的には、慢性じんましんの患者さんがステロイドの内服を始めてしまうと、何年もやめられないので、長期的な副作用の観点からも可能な限り使うべきではないと思っています(急性じんましんは別です)。

シクロスポリン(ネオーラル®)は、確かにじんましんにも効果がありますが、免疫力が下がること、高血圧や腎障害などの副作用があり、さらに保険適用外なので、クリニックでは使いにくい薬です。

オマリズマブ(ゾレア®)は、IgEに対するモノクローナル抗体のお薬です。大きな副作用はあまりなく、かつ効果が高い薬で、海外では抗ヒスタミン薬の4倍量までの増量で効果不十分の場合は、その次にオマリズマブを使うことになっています。

オマリズマブは、時に劇的な効果があり、注射してから1~2日でじんましんが全くでなくなる患者さんもいますが、一方で、何回か使わないと効果がはっきりしない患者さんもいます。

オマリズマブについての詳細はこちらのページで。