ボトックス注射

Last Updated on 2021年8月3日 by 院長

ボトックス®はA型ボツリヌス毒素(ボツリヌス菌から産生される神経毒素)製剤です。ボツリヌス毒素は、神経終末からアセチルコリンの放出を阻害します。神経から筋肉に信号が入るのを阻害し、筋肉を弛緩させますので、眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸などに使われます。

また、コリン作動性神経および汗腺の接合部においても神経伝達を阻害します。

要するに汗がでなくなるので、「重度の原発性腋窩多汗症」に使われています。

腋臭症については、ボトックス注射で臭いの軽減作用が得られるそうですが、健康保険の適用にはなりませんのでご注意ください。

以下に、実際の治療の流れを示します。

Day 1

診察、ボトックス®注射の適応があるか(重度の原発性腋窩多汗症であるかどうか)確認

ボトックス®注射について同意取得、患者登録

注射を行う日時を決定、予約、薬剤のオーダー(100単位)

ボトックス

 

Day 2(施行当日)(写真は募集したモニターの方です)

前日から制汗剤は使わず、剃毛しておいてください。

腋窩が大きく開いて、多少汚れてもいい服装で来院してください。

発汗部位の同定のためにミノール法(ヨウ素デンプン反応)をして、範囲をマーキングします。

ミノール法

発汗範囲内に、片方の腋窩ごとに10~15カ所、1~2cm離してジグザグにマーキングします。

マーキング

マーキング部位に(色素からわずかにずらして)ボトックスを皮内注射(片方に50単位、両方で100単位)をします。

針を刺すときよりも、薬液が皮膚に注入されるときに疼痛がありますので、保冷剤などで冷却しながら施行します。

注射後

マーカーをアルコールで落として終了

となります。

支払いは3割負担の方で再診だと、両脇で21,000円くらいになります(現金のみ、クレジットカード不可)。

薬剤をあらかじめ購入しておく必要がありますので、(薬剤の納入後は)キャンセルはできません。

4-9ヶ月で効果が減弱してくると言われています。前回の投与から4ヶ月以上経過したら、再投与が可能です(頻回の投与は中和抗体ができるといわれていますので、4ヶ月未満では不可です)。

GSKのワキ汗情報サイト(外部サイト)があります。ご参照ください。検索すると当院も出てきます。